文書作成日:2025/09/09
健康保険では、被保険者である従業員が病気やけがをしたときや、亡くなったとき、出産したときに保険給付が行われます。また、一定の要件を満たした従業員の家族(被扶養者に限る)の病気・けが・死亡・出産についても保険給付が行われます。10月から扶養の認定を受けることのできる家族の要件の一部が変更になることから、その変更点をとり上げます。
[1]変更の背景
2025年度の税制改正では、現下の厳しい人手不足の状況における就業調整対策等の観点から、19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合の、特定扶養控除の要件の見直し等が行われました。
これを踏まえ、健康保険の被扶養者としての認定を受ける家族が19歳以上23歳未満である場合の年間の収入要件についても税制改正に合わせるような形で変更されることになりました。
[2]年間の収入要件の変更内容
家族が被扶養者となる要件の一つに、年間の収入要件があります。2025年9月30日までは、年間の収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害者は180万円未満)が要件です。
この130万円未満という要件について、扶養の認定を受ける日が2025年10月1日以降であり、扶養の認定を受ける家族が19歳以上23歳未満の場合は、150万円未満に変更されます。
なお、ここでいう「家族」には、19歳以上23歳未満である従業員の配偶者は含まれません。また、年間の収入要件以外の要件に変更はありません。
[3]年齢要件の判定
今回、変更となる「19歳以上23歳未満」という年齢は、扶養の認定を受ける日が属する年の12月31日時点の年齢で判定されます。
例えば、扶養の認定を受ける家族が2026年11月に19歳の誕生日を迎える場合には、2026年(1月1日〜12月31日の暦年)における年間の収入要件が150万円未満となります。反対に、2026年11月に23歳の誕生日を迎える場合には、2026年(1月1日〜12月31日の暦年)における年間の収入要件が130万円未満となります。
年齢の判定は民法の期間に関する規定を準用することとされており、年齢は誕生日の前日において加算されます。そのため、1月1日が誕生日の人は、12月31日に年齢が加算されることに注意が必要です。
所得税は一定の通勤手当や食事手当が非課税扱いとなるといった取扱いがありますが、健康保険の収入にはこれらも含めることになります。このように所得税と社会保険(健康保険)では、取扱いに細かな違いがあるため、従業員が誤った認識を持たないように通知文を出すなど注意喚起が必要になります。
■参考リンク
日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
- 2024年度の労基署監督指導における賃金不払事案金額は172億円2025/09/02
- 長時間労働が疑われる事業場への監督指導結果2025/08/26
- 40.5%まで上昇した男性の育児休業取得率2025/08/19
- 年収130万円の壁に対応したキャリアアップ助成金の新設コース2025/08/12
- スポットワークを利用する際の注意点2025/08/05
- 1,000件超となった精神障害の労災支給決定件数2025/07/29
- 従業員の自宅に届く協会けんぽの資格確認書2025/07/22
- 重要度が増す仕事と育児・介護の両立に関する個別周知等2025/07/15
- 今後、対応が必要となるカスハラ対策と就活セクハラ対策2025/07/08
- 高校生をアルバイトとして雇用する際の注意点2025/07/01
- 10月施行の改正育児・介護休業法「柔軟な働き方を実現するための措置」への対応2025/06/24
- 4年連続増加となった休業4日以上の死傷者数2025/06/17
- 見直しが濃厚となった大学生の健康保険の扶養年収基準2025/06/10
- 改正労働安全衛生法の成立と7月から始まる全国安全週間2025/06/03
- 腰痛の労災認定の考え方2025/05/27